小児歯科
小児歯科では、子供のむし歯や歯周病を診療します。乳歯はいずれ永久歯に生え変わるからといってむし歯を放置すると、永久歯にまで影響を及ぼす恐れがあります。子供の歯はむし歯になりやすいため、日ごろからケアを習慣づけることが大切です。
乳歯だけではなく、生えたばかりの永久歯も、歯の表面を覆うエナメル質がやわらかいため、むし歯が進行しやすくなっています。子供の歯を守るには、日々のセルフケアを習慣づける必要があるため、親御さまの協力が欠かせません。
子供の歯について不安や疑問がある方は、どのようなことでもお気軽にご相談ください。
子供の歯がむし歯になる原因
子供の歯がむし歯になるのは、ミュータンス菌をはじめとした虫歯菌が糖を代謝して酸を出すためです。同時に、粘着性のある歯垢(プラーク)を形成して、歯に付着させます。歯垢が付着した歯は、カルシウムイオンやリン酸イオンが溶け出します(脱灰)。
通常、唾液の働きによってカルシウムイオンやリン酸イオンが歯に戻るのですが(再石灰化)、脱灰が持続した状態が長く続くと、歯のエナメル質や象牙質が溶けてむし歯になります。
乳歯のむし歯は、次の要因でリスクが高まります。
- 歯のすみずみまで磨けていない
- エナメル質が薄い
- 歯がまだやわらかい
- 歯が生えそろっていないため、凸凹していて磨きにくい
上の前歯の歯と歯の間、奥歯の溝、奥歯の歯と歯の間は磨きづらいため、より意識して磨く必要があります。
乳歯のむし歯の予防法
乳歯のむし歯を予防するには、歯垢をできるだけ早く取り除く必要があります。口の中のすみずみまで歯磨きできるように、お子様に歯磨きの方法を教えてあげましょう。また、お子様だけに歯磨きを任せるのではなく、親御さまが仕上げ磨きをしてください。
お子様の歯磨きの技術によりますが、10歳ぐらいまでは仕上げ磨きをしてあげた方がよいといわれています。
自宅での歯磨きのほか、歯科医院でフッ素塗布やシーラントなどの処置を受けていただくこともむし歯予防に有効です 。
子供のむし歯の治療方法
子供のむし歯治療では、まず歯医者に慣れていただくことから始めます。歯科医院特有の匂いや機械の音などに恐怖心を抱き、歯医者に恐いイメージを持ってしまうと、治療を受けていただけません。また、大人になってからも歯科医院に対する苦手意識がなくならない可能性があります。
お子様の生涯にかかわる恐れがございますので、無理に歯科治療を行うようなことはいたしません。まずは、キッズルームで遊んでもらったり、絵本を通じて歯医者への理解を深めてもらったりしてから、診察室へ来ていただきます。
診察室に入っていただいたら、歯科の器具に触れたり見たりして、少しでも興味を持ってもらえるようにします。器具に慣れたら、お子様への負担が少なくて安全な歯磨きの練習や歯のクリーニングなどから始め、少しずつステップアップしていきます。
赤ちゃんの口腔ケアの方法
生まれたばかりの赤ちゃんの口腔内には、むし歯が存在しません。しかし、赤ちゃんは身の回りのものを口に入れるため、むし菌をはじめとしたさまざまな細菌が口腔内に侵入します。
むし歯菌は、食べ物の口移し、食器の使いまわし、息を吹きかけて冷ますときに飛ぶ唾液などが原因で、家族から感染します。つまり、ご家族の努力次第でむし菌の感染リスクを低減できるのです。
むし歯のなりやすさは3歳までに決まるといわれているため、それまではむし歯の感染を防ぐために口移しや食器の使いまわしなどは控えましょう。
歯磨きを始める方法
最初から歯ブラシを口の中に入れると、歯磨きが嫌いになる可能性があります。歯が生える前から、歯ブラシを使った歯磨きの練習を始めると、歯が生えてからのケアがやりやすくなります。
最初は、清潔な指で口の中を少しずつ触ることから始めましょう。慣れてきたら、湿ったガーゼやスポンジで口の中を拭いてあげてください。時間があるときのスキンシップとして行うと、親御さまも大きな負担を感じることなく続けられるでしょう。
歯科医院で行うお子様のケア
歯科医院では、お子様のむし歯や歯周病を防ぐために、次のケアを行います。
定期的なフッ素塗布
フッ素塗布とは、フッ化物を歯に塗って、酸に対する耐性を高める処置です。
つまり、むし歯に強い歯にできます。
1歳半~6歳までは、半年に1回のフッ素塗布をおすすめします。
ブラッシング指導
3歳ごろから1人で歯磨きができるようになりますが、親御さまのマネをされているだけのため、すみずみまで磨けていません。そのため、磨き残しがないか親御さまがチェックして、仕上げ磨きをする必要があります。
ただ、親御さまが正しい歯磨きの方法を理解されていないと、仕上げ磨きのメリットを得られません。そのため、定期的に歯科医院でブラッシング指導を受けていただくことが大切です。
歯面清掃
歯科医師や歯科衛生士が専用の器具で歯の表面の汚れを取り除きます。
歯磨きで落とし切れない汚れを徹底的に取り除き、歯垢の蓄積や歯石の発生を防ぎます。
また、フッ素塗布をする場合、歯の表面をきれいにしないと効果が発揮されません。
そのため、歯科医院を受診いただいた際には、必ず歯面清掃をします。
シーラント
シーラントとは、奥歯の溝にプラスチック樹脂の一種を流し込み、汚れが溜まらないようにする処置です。歯垢の蓄積を防ぎ、むし歯のリスクを抑えます。少しでもむし歯のリスクを抑えるために、奥歯が生えてきたらすぐに受けていただくことが大切です。